食べられる森

ジョー・セント・クレアは新しい草の根のプロジェクトを発見しました。

翻訳:馬場 汐梨

農場で、新しい草の根のイニシアチブの種が蒔かれています。小さな区画を、持続可能で自己調整するエコシステムへと変えるためのシンプルなアイデアです。そのエコシステムは、栄養に満ち、健康でオーガニックの食べ物を地域のコミュニティに提供し、またそのコミュニティが共に孤立に対抗し、仲間関係や所属の価値を醸し出します。そう、これは効果があるのです。

 食べられる森プロジェクトは、小さな新しく作られた組織で、コミュニティが食べられる森を植えるのを手助けするために設立されました。しかしただ地域のコミュニティに食べ物を育てることだけではありません。食べ物と野生生物の住処をも与えてくれます。つまりそれは全員にとってウィンウィンな状況なのです。

 そのアイデアはブリストルを本拠としている建設的保全のスペシャリスト、トリスタン・フェイス (Tristan Faith) によって考えられたものです。彼はその構想を紙にスケッチして私に彼のビジョンをシェアしてくれました。「土壌を働かせすぎたり使い果たしたりするよりも、自然が自ら補充するように自然と協力するというアイデアなんです」と彼は説明します。「要は、多層の自己調整するエコシステムです。まず木を植えて林冠層を作ります。それは果物の木の中間層の陰になり、その中間層は代わりに低木層と根菜層から下層土までの陰となります。それぞれの層は異なる種の住処となり、自然の捕食者が昆虫をコントロールすることができます。システムが安定して果物やナッツ、野菜、ハーブなどを生産するまでに5年ほどかかります。一旦そのレベルまで成熟すれば、自立するようになっているのでそれ以上の介入は不要です」

 フェイスのビジョンは、そのプロジェクトの基準に適した一区画を親切にも寄付してくれた協力的な農家に出会うまでは概念的なアイデアでした。サマセットのシェプトン・マレットに近いその土地は、長年牧草地としてたくさん使われていました。今はそこに食べられる森が開発され、地域の野生生物にとって完璧な家を与える、オーガニックで生物多様な自然な住処を作っています。食べられる森はまた、林地を作ることで二酸化炭素を取り込んで土壌を再生し、流出を食い止めて侵食を安定させる自然空間を作り出すことで、気候変動、大気汚染、土壌や水の汚染の影響を軽減するのに役立っています。一旦自然の季節のサイクルが引き継がれれば殺虫剤も肥料も必要なく、肥沃な土壌によってオーガニックの果物や野菜が育ちます。これらの商品は地域のコミュニティで寄付によって買われ、これが更なる拡大の資金になります。

 食べられる森を作ることは、自立の手法で繁栄させようとすると、たくさんの注意深い計画を必要とします。現代の食料生産の技術は大量の廃棄物を生み出すと同時に土壌の栄養素を損なう傾向にあります。ですので、このプロジェクトでは「閉じた循環」システムという手段で廃棄物を最小限にすることに注力しています。最小限の廃棄で小さなエリアで、最高品質の、完全にオーガニックの食べ物がたくさん生産できるように計算されていたのです。余った生産物は土壌をさらに豊かにするために、自然に再利用されます。

 このプロジェクトには別の重要な目標があります。現代社会の大部分が自然環境との繋がりを失っています。この認識から、プロジェクトは今、SAFE Collective という、傷つきやすい虐待された若者と連携する組織に参加しました。ボランティアがティーンエイジャーをシェプトン・マレットに連れて行って、木や作物を植えさせ、安全で刺激的で、自然な環境で持続可能な農業や食料生産について学ばせます。傷つきやすい若者をこのような活動に引き合わせることで、彼らが自信をつける助けとなり、彼らがコミュニティの中でどれだけ価値を持っているかを示します。

詳しくは www.thefoodforestproject.org へ。

ジョー・セント・クレア (Joe St Clair) はイギリスの世界持続可能フォーラムの取締役社長です。

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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