農業の導き手

翻訳:沓名 輝政

読者の皆さんがリサージェンス & エコロジストの今号を開く頃、他にも開くものがあります — キングサリ属の花、ヤグルマギク属のピンクの花、草地(メドウ)の野草、そしてその他の花が自然な草地で咲き誇る。これらを楽しむのに最適な時期は7月6日、英国のナショナル・メドウズ・デイ (National Meadows Day) で、瞬く間に消えゆくこの生態系を体験するイベントが英国中で計画されています。

 野生の花の草地は賛美すべき本当に感嘆できるものです。菌類からヘビ、コウモリ、鳥に至るまで、幅広い野生生物の住処を提供することにより、農業がいかに生きている惑星に利益をもたらし得るかという例となっています。しかしながら、第二次世界大戦以来、穀物を栽培するために広大な草原が耕作されてきました。そして今日、英国はおよそ 40 年前の低地草原の 3% しかありません。生物種が豊富な草原は、炭素貯蔵や洪水を防ぐ保水などの利点をもたらしますが、英国の草地の 2% のみ、生物種が豊富であると分類されています。政府が気候変動の緊急事態を宣言し、国連の報告書が数 10 年以内にさらに多くの生物種が絶滅する可能性があると警告しているので、農業の役割はかつてないほど注視されています。しかし、私たちが一緒に取り組めば、物事をより良い方向に変えることができます。以降のページで例をいくつか探ります。

 ゼンビ・マッチ (Thembi Mutch) は、タンザニアのバナナの将来、そしてそれに頼っている人の数を調べ、エド・デイヴィー (Ed Davey) は中国の食事の選択が他の国々にどのような影響を与えるかを探ります。 イギリスでは、ハリー・バートン (Harry Barton) は、イギリスの欧州連合からの離脱が、自然や農業に恩恵をもたらす適切な政策を実行する機会をどのように提供できるかを掘り下げます。

 政治的意思は、アイルランドの元大統領であるメアリー・ロビンソン (Mary Robinson) のインタビューの中心でもあります。 彼女は、学校のストライキに油を注ぐ情熱とエネルギーを称賛し、「私たちは若い人たちの情熱に耳を傾け、そこから学び、行動を求める彼らの叫びを満たす方法が実際にあることを彼らに示す必要があります」と彼女は言います。

 私たちの倫理的生活のコーナーで、アンナ・ターンズ (Anna Turns) が実業家ジィーティー・スィン=ワトソン(Geetie Singh-Watson) と出会い、彼女の環境活動と美味しいガストロパブの食事の作り方を知ります。芸術の面で私たちが分かったことは、野生の花の草地は賑やかな生態系であるだけでなく、 芸術家のジェシカ・アルバーン (Jessica Albarn) には、インスピレーションの源だということです。

 農業や食生活についての意見は十人十色でしょうが、環境危機によって私たちの口から食べ物が奪われる恐れがあるため、分裂したり名指しで非難したりしている暇はありません。ソイル・アソシエーション (Soil Association) の政策責任者であるガレス・モーガン (Gareth Morgan) が最近の記事で引用したように、「農家は、解決策の一部と見なされるべきであり、気候に優しい農業解決策へ移行する支援を受けなければならない」のです。

マリアン・ブラウン

編集者

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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