ただ医者の指示のまま

ジェームズ・シマンキェヴィチが、人々を自然へと近づける狙いの活動「ナチュラリー・ヘルシー」について執筆。

翻訳:浅野 綾子

社会として、私たちは自然界と断絶してきました。私たちは自然を、本質的に自分が属するものというより、中流階級のライフスタイルに付加するもののように見ています。どういうわけか、死んだ惑星では健康も幸福もないことを私たちは忘れています。このことは、自然環境の破壊的な絶滅に対する集団的無関心につながっています。私たちは世界は大きすぎて資源を使い切ることはできないと考えています。実際、私たちの全体の経済モデルは無限の成長というおとぎ話を保ち続けるために、自然をもっとお金に変えることを前提にしています。

 イギリスでは毎年、成人人口の4人に1人が精神的な問題を抱え、25年以上に渡って鬱や不安を感じる10代は70%増え、そして成人の62%と2歳から15歳の子どもの32%は過体重です。あらゆる物質的な富に関わらず、私たちが幸せでないことは明らかです。

 最近の健康管理に対する医学的なアプローチには限界があります。実証された病気や不健康に対する最先端の治療介入に私たちのほとんどの資源を投資しています。どんな状態にも投薬や治療介入が期待できると社会に言い聞かせてきました。食生活や運動、ライフスタイルの変化の指示を受け入れることに、患者や医者のためらいがあります。それらの価値はますます認められているのですが。

 この記事の検討事項からは外れますが、何が習慣の変化に影響をもたらすかについての大規模な研究がなされています。成功させるためには、全ての治療介入は私たちの価値観を取り上げるべきだと私は思います。幼少期から、教育システムはゆっくりと物質的な豊かさを実現することに重きを置く個人を作り出します。長い時間を室内で過ごし、子どもたちはますます自分たちが食べる食物や飲む水、呼吸する空気の起源から遠ざかっています。

 私たちの子どもたちはより多くの時間を外より画面の前で過ごします。健康にはよくないという証拠があるにも関わらず、1日4時間から6時間というのが10代では最近の標準的な状況となっています。ナチュラリー・ヘルシーのアプローチでは、子どもたちと環境の健康と幸福のために、子どもたちが自然界と関わりを持たせるのに資源を費やすでしょう。活発に外で学ぶことに時間を過ごすことで、彼らは世界での自分たちの場所を理解することができるでしょう。そのことが彼らの身体的、精神的な健康を改善し、自然の価値を理解する手助けとなるでしょう。

 このことを国家のカリキュラムに組み込み、学生の間を通じて発展するナチュラリー・ヘルシーなシラバスを作るのが合理的ではないでしょうか?間違ってはいけません:このことが学業の課題を損なうことにはなりません。実は、幸せで健康な子どもはよりよく学ぶことが証明されています。

 ナチュラリー・ヘルシーはただの共通感覚です。この原則を国家の教育方針に正式に記載すべきです。地域での履行は地域の環境に依存します。1日1マイル歩くことだったり、1日の林間学校だったり、またはウェーブ・プロジェクト (The Wave Project) でサーフィンすることだったりするかもしれません。子どもたちが自然界を学び、自然界に関わり、そしてその価値を見出すということが仕様です。ただし、それは根付いて、着実で、基礎教育に行き渡っている必要があります。

 成人人口に対しては、私たちの戦略的な健康アプローチを再検討する必要があります。成人が自然界と関わり直すような治療介入は身体的、精神的健康に利益をもたらしますし、予防にもセラピーにもなるように設計することもできます。的を絞った自然ベースの治療介入は、鬱、不安、孤独、慢性疾患といった範囲の対応において、また認知症を遅らせることにおいて、効能と費用効率が実証されています。さらに、副作用はありません!

 治療介入は健康のためのウォーキングぐらいシンプルにも、コーステアリングぐらいアクティブにも、ナショナル・トラストでボランティアをするぐらい参加型にもできます。万能なアプローチはありません。フィードバックによると、参加者たちは地域の一員になることや、新しいスキルを身につけること、活動レベルを上げること、そして自然界とつながり直すことに価値を見出しているようです。

 重要なのは、これらのプロジェクトの多くは効能や費用効率を評価することがとても明確なので、それらをどのように記述するかについては慎重になる必要があります。「付加するもの」とか「緑の処方箋」などとして書くべきではなく、最先端のベストな実践方法として書くべきです。そうすれば適切に依頼されるようになります。

 ではなぜ、証拠が明確なのに国家レベルでは認められていないのでしょうか。実は認められています。政府の25か年環境計画の3章で、環境と健康と幸福の関係について認められているのです。そのビジョンは、人々が緑化スペースを使って健康と幸福を改善することや、町や都市を緑化すること、そして子どもたちが学校の内外で自然との距離を縮めるのを促すことです。ヘルスケアの理事の取り組みは広がっており、保健省の関心も高まっていますが、未だ公式な認識には至っていません。やがては明確で一貫性のあるメッセージが進展することを望んでいます。

 私たちのコミュニティを自然界とつなぎ直すことは健康と幸福を改善する変化のアプローチだと思います。健康団体と環境保護団体の間に働くパートナーシップは、長期的な戦略的ビジョンを発展させ、健康人口と健康的な環境をもたらすことができます。私たちは病人やコミュニティ、そして子どもたちが行動することに責任があります。そうですよね?

ナチュラリー・ヘルシーの5月は、私たちが外に出たくなるイベントの月です。詳しい情報は www.naturaldevon.org.uk/naturallyhealthymonth/ をご覧ください。ジェームズ・シマンキェヴィチは総合診療医であり、ナチェラル・デヴォン (Natural Devon

) の議長でもあります。@Drjamesszy

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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