切断と同調:学びの教訓

新学年が始まり、学生の幸福を重視する上でWi-Fi、携帯やソーシャルメディアから離れるべきだとキム・サミュエルは語ります。

翻訳:坂井 晴香

ロンドン大学で経済学を教えているリチャード・レイヤードについて私は考え続けています。学生生活の本質的な特徴は、他者を気遣うことを学生たちに教えることであるべきだと彼は述べています。情が深く面倒見が良く、世界をより良い場所にする若者になるようにするのです。

 彼の意見に心から賛同します。自らのコミュニティにおいて責任感を感じることで幸せを感じ、満たされる学生たちを見ることが私にとって教えるという経験の中で最たる喜びの一つです。

 しかし私のミッションがそうだとしても、私の大学の業務に関わる職員や教員皆がそれを応援してくれるでしょうか。そのように私たちが価値を見出すとするなら、学生中心の最も有益な方法で大学にある資源に焦点を当てることではないのでしょうか。一人の完全な人間になることが大学の知性溢れる機能の一部であり、大学はその点において優れているべきです。しかし、学生がストレスによって心に負担をかけられていると、精神的な生活を学生は十分に楽しむことができません。

 数多くの指標が私たちが危機に面していることを示しています。2015年、ロンドン拠点の公共政策について研究する機関 Institute for Public Policy Research によると、大学1年で精神的に健康ではない学生数が2006年以来500%も増加しています。同期間で、学生における自殺者数は79%増加しています。

 カナダとイギリス全土にある私の所属する大学において、私は警鐘を鳴らす方法を考えてきました。学生、教授、事務局がみな同じく、学生の幸福を高め、危機が起きた時に対応するための重要なサービスについて組織化し、呼びかけ、出資しています。ブリストル大学の職員の一人によると、精神的な健康は全国において副学長の議題のトップに置かれています。しかし、私たちの為すこと全てにおいて、依然として道のりは遠いです。私たちの大学ではもうすぐ輝かしい若者へ新しい授業を開こうとしています。学生のために精神的な健康へのニーズに応える学内システムを構築する責任があります。。。

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。。。教室の中では、教授が生徒に物質的なものだけでなく彼らを取り巻くコミュニティにも関わることを助ける一役を担うことが必須です。テクノロジーは現代的な教室において手助けとなりますが、価値ある関係性を構築するには人間同士の交流が必要です。これは教育者としての業務を補完するものではなく、統合的なものです。守られ、尊重され、大事にされ、見てもらえると人々が感じる教室に気を配ることで最良の学びとなります。私の経験では、教授と学生、学生同士の相互交流が促進される慎重な努力が教室での経験をあらゆる面で高め、学ぶことと同じように教えることが今以上に報われるのです。

 もちろん、精神的な健康のような重要課題の組織的変革には、学長の協力的なリーダーシップが求められます。伝統的な精神的健康へのサービスに投資し、上述の学生中心のアプローチを探求することに加えて、職員が責任を持って学生の幸福が何によって決まるのかを追い続けるべきです。

 レイヤードの決まり文句をやさしく言い換えると、大切にしたければよく吟味すべし。大学を学生が幸せに、健康でいられる場所にする努力を見極め、適正にし、改善するのに、一貫した信用できるデータが役立つでしょう。

キム・サミュエル (Kim Samuel) は、前リサージェンス理事、Samuel Centre for Social Connectedness の創設者、モントリオールのマギル大学の実務家教員。www.socialconnectedness.org

Turn Off, Tune In: A Lesson in Learning • Kim Samuel

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リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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