いい子ぶるのはもうやめよう...

活動家で環境ライターのヤン・グッディは、化石燃料の継続的な支配(そして支援)に抗議する市民的抵抗の次のステップを歓迎する。

翻訳・校正:沓名 輝政

気候変動の緊急事態がますます深刻になるにつれ、より多くのグループをより広範な連合体にまとめる必要性が生じている。つまり、若い活動家たちは、かつてのような分断統治政治を用いて人々を平和にしようとする、利益誘導的な統治者の無能さと二重取引を一掃することに、より一層熱心に取り組んでいるのだ。

 ジャスト・ストップ・オイル(JSO)、This is Rigged、その他の活動家は、これに対抗するため、説明責任を果たす/果たさない非暴力直接行動を起こしている。ジャスト・ストップ・オイルは、2022年4月、南東イングランドの多くのガソリンスタンドの店先を干上がらせる一連の製油所閉鎖から、その執拗なキャンペーンを開始した。その後、同年11月にシャルム・エル・シェイクで開催されたCOP26気候会議の開幕に合わせて、M25を1週間閉鎖した。そして、連日ロンドンをゆっくりと行進した。グループの要求は、石油、ガス、石炭の新規認可の不許可、公共交通機関の無料化、すべての社会的住宅の断熱改修だ。1年前のInsulate Britainのキャンペーンに続き、現在では国内各地に小規模な断熱協同組合が多数結成されている。

 改革主義の議題は、議論から、とことん外れているが、根本的な変化はそうではない。特に若い活動家たちは、これ以上問題を先延ばしする気持ちではいられない。

 「私は25歳で、40代[あるいは50代、60代]の人たちから話を振られることはありません。40歳になれるかどうかもわからないので、怖いです」と、ある若いJSOメンバーは最近私に言った。

 「Green Anticapitalist Front(緑の反資本主義戦線)」とともに活動する「Green Anticapitalist Media(緑の反資本主義メディア)」はこう主張する。 「抑圧的で生態学的に破滅的な構造を完全に破壊するのではなく、交差性を無視し、改革を求めることによって、運動は政治(国家が常に勝つゲーム)の気まぐれで弱体化する」

 「安定した家と経済力を持つ白人でない誰もが、残忍な扱いを受け、逮捕され、法廷に出席せざるを得ない立場に身を置くことは現実的ではない。システムの中でプレーするという戦略は、支配システムに対する真の脅威を生み出すのではなく、反対意見を鎮め、抵抗を管理する国家の能力を助けるものだ」

 しかし、時間が最も重要なのであり、どんなに小さくても何かを勝ち取ろうとするならば、環境ファミリーは必然的にパーセンテージ勝負に出なければならないと考えるだろう。自衛や暴力的抵抗を主張する人がいるように、たゆまぬ非暴力的な抵抗は効果的だ。

 2023年5月、『タイムズ・オブ・インディア』紙の通信社である『タイムズ・ニューズ・ネットワーク(Times News Network)』によって、リシ・スナック(Rishi Sunak)が100の新規石油・ガス探査ライセンス付与を発表するわずか1カ月前に、インドの企業InfosysがBPと13億ポンドの契約(プライマリー・アプリケーション・サービスの提供)を結んだという、全く驚けない事実が明らかになったことを受け、多くの人々が当然ながら憤慨している。これは、シェルのワエル・サワン(Wael Sawan)最高経営責任者(CEO)が首相のビジネス協議会に参加した上に、起きたことだ。

 社会の転換点は近づいている。BBCのジャーナリスト、例えばジャスティン・ロウラット(Justin Rowlatt)とサラ・モンタギュー(Sarah Montague)の2人がゴールデンタイムに実際にありのままを伝えると、圧力弁が開き始める。今年7月の「ニュース・アット・テン(News at Ten)」で報道したロウラットは、世界の平均気温が17℃に達し、これまでで最も暑い週となったと語った。彼いわく、人類はおよそ30万年存在してきたが、産業革命以降に限って温度の安定性が壊されている。産業革命以前は275ppmだったCO2排出量は、現在では約420ppmに増加し、メタンを考慮すると大気中の炭素は500ppmに近づいている。

 二酸化炭素の回収、地球工学、ラブロック的宇宙科学などを取り巻く大きな対策の着想は、今後7年間で排出量を半減させるというものだ。アメリカの生物学者E.O.ウィルソン(E.O. Wilson)は「ハーフ・アース(地球の半分を再野生化することが急務)」を提唱した。彼の考えは、2015年7月にハーバード大学の気候科学者であるジェームズ・G・アンダーソン(James G. Anderso)によって具体化された。彼は、北極圏が温暖化するにつれて(2023年には世界の他の地域よりも4.5倍の速さで温暖化する)、気温差が熱帯に近づき、大気の転流能力が緩和され、成層圏が湿潤化することを明らかにした。

 今年7月の放送で、英国政府の元最高科学顧問であり、気候危機諮問グループの議長であるデビッド・キング(David King)は、この変化がいかにジェット気流(北極圏を反時計回りに回る強風)に壊滅的な変動をもたらしているかを説明した。そのジェット気流は、私たちが現在目撃している異常気象を引き起こしており、来年、そしてその次もまた目撃するだろう。オーストラリア国立大学のウィル・ステフェン(Will Steffen)の研究を取り上げ、キングはグリーンランドの「不可逆的な」融解を指摘した。ステフェンは2045年までにグリーンランドの融解が起こり、海面が8メートル上昇すると予測している。これは、その頃にはロンドンが水没していることを意味する。

 これまでのところ、科学は警鐘を鳴らすものではなく、むしろ保守的であることが証明されており、予防原則が求められている。

 人類愛プロジェクトとその集会は、これを目指している。広範な教会の環境保護活動の社会性の側面が鍵となる。一方では、Just Stop Oil、Animal Rising、Earth First!などを通じた直接的行動の絶え間ない波があり、他方では、より広範で多様な構成員(例えばBlaksox)に現実的な目標を提示し、市民的抵抗に新たなエネルギーをもたらす。

 常に求められているのは、新しい石油、ガス、石炭の廃止、再生可能エネルギーへの即時かつ広範なシフト、そして省エネルギー、廃棄物ゼロ、無料公共交通機関、循環型、定常状態、地域化された経済/アナーキーへの対策であり、これらはすべて、組織化された、友好的な、草の根コミュニティが中心となっている。

 「フレンズ・オブ・ジ・アース・スコットランド」の気候とエネルギー活動家、キャロライン・ランス(Caroline Rance)は、ザック・ゴールドスミス(Zac Goldsmith)が今年7月に私たちが直面している政府の課題を理由に閣僚を辞任する前から、政府の気候変動政策を「茶番劇」と評していた。

 ランスはこう説明した。「[この政策は]石油業界が、今後数十年間、気候を破壊するビジネスの常態化に私たちを閉じ込めるべく、ハードルを低く設定するように設計されています。英国政府は、新規の石油・ガス開発プロジェクトの許可を直ちに停止し、その代わりに、影響を受ける労働者と地域社会にとって公正な移行を確保しながら、既存の油田の段階的廃止を管理し始めるべきです。気候変動に適合した石油・ガス開発など存在しないというのが、単純な事実なのです」

ヤン・グッディ(Jan Goodey)は本誌の定期寄稿者で、New Rootsの生協の庭師、イースト・サセックスのHearts and Flowersのボランティア・コーディネーターとして働いている。

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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