環境ニュース集

翻訳:斉藤孝子

ハリネズミケア、囚人の社会復帰に効果

司法省はハリネズミの保護を通して、イングランドの囚人や元犯罪者の社会復帰を図っています。サステイナブル活動チームでエコロジーリーダーを務めるフィル・トーマスは、「ハリネズミプロジェクトは増えつつあります。」と、リサージェンス&エコロジストに語りました。「それは修復的司法[当該犯罪に関係する全ての当事者が一堂に会し、犯罪の影響とその将来へのかかわりをいかに取り扱うかを集団的に解決するプロセス]とハリネズミ保護に一石二鳥です。」

 昨年の冬に始まった最新のプログラムの1つでは、マンチェスター、ウィジントンロード(Withington Road)元犯罪者用認可居宅に11匹の低体重ハリネズミが預けられ、元犯罪者たちがそれらに冬眠の準備をさせ春に放せるよう、その世話をしました。

 「動物の世話をするにはスタッフとのチームワークがしばしば必要なので、このプロジェクトは、権限ある人とのかかわりが苦手な元犯罪者にとって特に効果をあげています。」と、司法省サステイナブル活動チームのエコロジー技術サポートで働くベアトリス・フィンチ(Beatrice Finch)は言います。 ウィジントンロード認可居住支援員であるジャッキー・モリス(Jacqui Morris)は、ドッグズトラスト(Dogs Trust)が元犯罪者に与えた肯定的な効果を見て、地元のハリネズミ慈善団体に働きかけました。彼女は「これがもたらした効果は目を見張るものです。動物たちと共に働き世話することは、治療になり自尊心を築く助けになります。」と語ります。

 世界的企業であるセルコ(Serco)が運営する民間刑務所、HMPドンキャスター(Doncaster)[救済刑務所] でのプロジェクトでは、2017年後半、3匹のハリネズミ用の特別な生息環境を作ることに囚人たちが関わりました。そこでは今、野生に放す目的でハリネズミの飼育繁殖が始まったところです。多くのプロジェクトが進行中です。「私たちは他の認可居宅でのハリネズミプロジェクト開始に向け積極的にお手伝いしています。」とトーマスは語りました。プラスチックを避ける海鳥

 海洋汚染広報(Marine Pollution Bulletin)に掲載された論文は、オーストラリアの尾長水薙鳥は他の種に比べ、わずかな量しかプラスチックを食べないことを示しました。その13年間の調査で、この鳥もプラスチックをいくらか食べてはいるものの、体のサイズへの明らかな影響が見られないことも分かりました。 「海鳥の体内のプラスチックを監視することは、プラスチック汚染を国際規模で測定する最善策の1つです。海洋プラスチックに関する多くの研究は、1つの場所での1つの種の1年間のもので、長期間については表していません。先の論文の優れた点は、それが長期にわたるデータを与えてくれたことです。」とは、ロンドン自然史博物館の鳥類上級キュレーター且つその論文の共同執筆者であるアレックス・ボンド(Alex Bond)の弁です。

tinyurl.com/nhm-shearwaters-plastic


自然の薬草や芳香植物種、絶滅に直面する可能性 

野生生物取引監視ネットワークであるトラフィック(TRAFFIC)によって発表された新しい報告書によると、IUCN(国際自然保護連合)の脅威種リストの基準に基づいて評価された世界の薬用植物および芳香植物5種のうちの1種が、絶滅に直面する可能性があります。野生植物由来の成分は、医薬品、化粧品、食品および飲料を含む多くの製品の重要な成分です。

 「企業はよく、これら成分の『天然』や『自然』特性を強調するマーケティング戦略を持っていますが、それらの調達が生態学的そして社会的に持続可能かどうかには殆ど注意を払っていません。多くの植物が今までにないプレッシャーを受けており、価値のある種たちが全く知らないうちに消滅する危険があります。」とワイルド・アット・ホーム(Wild At Home)の報告書は述べています。 一部の概算によれば、薬用植物およびアロマ族植物の取引量の60%から90%は、野生で採集されたものです。しかし、多くの野生植物取引は非公式で、取引生産統計は、栽培されたものか採集されたものかの区別がありません。IUCNのガイドラインに基づいて評価されているのは、28,000種のわずか約7%です。 この傾向を逆転させるために、報告書は完全なトレーサビリティ[追跡可能性]を提供し、協同組合を設立し、野生収集成分の持続可能な利用を促進するためフェア・ワイルド(FairWild)のような認証提供を提案しています。報告書は、消費者に、自分が使用している製品に含まれる潜在的な野生成分を探し、持続可能な形で収集されている品質かどうかを問うよう勧めています。甘草、フランケンセンス、アラビアゴム、シアバター等12種の植物製品に特に注目しています。

www.fairwild.orgtinyurl.com/wild-at-home


新しい釣り用フック、海鳥や亀の混獲避ける

延縄漁業では野生生物を救うよう設計された装置が増加、アンナが報告します。

 アホウドリと海ガメに安全な設計がされた英国の発明は、最近のクラウドファンディングの後押しで72,000ポンドの追加支給を受けました。それは、世界中の遠洋漁業者が毎年マグロやカジキのような魚を捕獲するために装備するフック約30億個分に相当します。けれどもそのフックは魚が見つかる深さに到達する前に、致命的な混獲をしてしまいます。つまり推定30万羽の海鳥を殺傷し、そのかなりの割合がアホウドリで、海ガメも同様です。アホウドリ22種のうち15種と、海ガメ7種のうち6種が絶滅の危機にあります。 新しい資金提供で、デボン拠点の会社が製造した6,000のフックポッド(Hookpod)をブラジルのマグロ漁船5隻に装備し、さらに海鳥が多い海域のニュージーランドで船舶のフックポッド費用を補助できそうです。

 「各フックポッドは支線に永久的に取り付けられ、フックは底にはめ込まれますが、そこにはフックの針先が安全に固定されるように一組のバネ付きゲートがあります。それがボートから投げ込まれ、水の中に沈んでいきます。」とフックポッド最高経営責任者ベッキー・インガム(Becky Ingham)は、語ります。 「20メートルの深さで空気室の圧力が上がり、ピストンが作動し、これがポッドを開けフックが解放され、漁が始まります。」

 10メートルの深さで開くフックポッドを使った最初の試行では、海鳥の混獲が95%、カメの混獲が50%減少しています。現在のフックポッドは、2倍の深さで開くことにより、カメの80%を護れると期待しています。

アンナ・ターンズ(Anna Turns)は、フリーランスジャーナリストであり、プラスチックに反対する子供たちの活動、プラスティック・クレバー・サルコム(Plastic Clever Salcombe)の創設者です。

www.hookpod.com


皇太子の、環境・芸術・精神の問題に関する働きを記念する会議

ウェールズ皇太子の環境・精神・芸術の分野における貢献を表明する会議が11月に開催されます。彼の70歳の誕生日を祝し、11月17日土曜日、カンタベリー大聖堂プレシンクで行われれます。皇太子の哲学を支え、2010年の彼の著書「ハーモニー」に明記されている調和の土台となる精神的原則に焦点を当てます。

 BBCラジオ3やテメノス・アカデミーのイアン・スカリー、WWF-UK(世界自然保護基金英国支部)のトニー・ジュニパーら共著者を含む殆どの講演者は、皇太子と緊密に協働してきました。リサージェンス・トラストはサティシュ・クマールにより、また有機農業については持続可能食糧信託(Sustainable Food Trust)のパトリック・ホールデンとハイグローブ(Highgrove)にある皇太子所有地の長年の農場経営者デイビッド・ウィルソンによって語られます。ブリストル癌ヘルプセンターのロージー・ダニエルは新しい健康観を提示し、リチャード・ドゥーン(Richard Dunne)教頭は調和の原則を教育に適用することについて話します。ケイス・クリッチロー(Keith Critchlow)は神聖な幾何学に関する映画に出演します。 この日は「ラジカル・プリンス」の著者、デイヴィッド・ロリマーが議長を務めます。彼は「歴史上の分岐点にあるこの時に、科学、医療、環境、農業、建築、幅広い社会問題に皇太子の調和の原則を適用することは、多くの体系的課題に取り組む建設的アプローチとしてこれ以上に重要なことはありません。」と述べました。

tinyurl.com/harmony-conference

この環境ニュース集は、特に断りのない限り、マリアナ・ブラウン(Marianne Brown)が執筆編集しました。

マリアナ・ブラウン (Marianne Brown):リサージェンス・エコロジスト副編集長      

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A round up of environmental stories • Marianne Brown

Hedgehogs, seabirds and medicinal plants

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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