正しく、賢く食べる

食と農について考え直す

私たちのバックグラウンドや信念がどうであれ、食は私たちの文化やコミュニティの柱になるものです。それはおそらく今日のマルチメディアの時代ではかつて無いほど真実と言えるでしょう。テレビのプロデューサーは、ベーカリーのコンテストから有名シェフの最近のお騒がせな言動まで視聴者を惹きつける最新の料理の秘訣で競っています。新聞の日曜版には広まっている他のどんな流行にも負けじと新しい料理の派手な写真を載せています。携帯の利用者は皿に乗っているものの画像をオンラインに投稿することに、食べるのと同じくらいの時間を費やしているようです。

 しかしそういった虚偽を全てそぎ落とし、私たちが食べているもの、それがどのように作られているのか、また私たちの地球との関係性、そして私たちのお互いの関係性が問題なのです。このような理由から、私たちはリサージェンス・エコロジスト誌の今号の多くを食と農に充てようと決めました。 世界の多くの他の地域と同様、イギリスでは食と農業のシステムについて再考する必要に迫られています。食の活動家であるヒュー・ファーンリー・ウィッティングストールはメインインタビューで私たちがなぜ持続不可能レベルの食肉生産と消費から離れて、より野菜中心の食生活に移る必要があるかを述べます。そしてスー・プリチャード (Sue Pritchard) は私たち個人の倫理的な、ライフスタイルの決断は重要である一方で、現在の政治情勢(特にイギリスのEU脱退の余波)が意味しているのは、政策担当者が筋の通った食と農の新しい政策を生み出すチャンスを掴まなければならないと主張します。ハーバート・ジラルデ (Herbert Girardet) は田舎と都市の両方で、食の生産と分配の再生可能なアプローチの必要性を思い起こさせますが、一方で今号の他の寄稿者は近代の「アグロインダストリー」のダメージが野生生物と田舎に及ぼされており、それを後戻りさせるステップが必要だと述べます。

 今日、多くの人が依然空腹にある中で、私たちは地球の大部分を、持続不可能な形で環境にダメージを与える食の生産に変えています。裕福な国のためです。このことは、食品ロスや発展途上国と言われる国々での食の貧困と相まって、私たち全員の恥辱であり、また、より優れた社会正義と環境正義への発奮材料となるべきです。サティシュ・クマールはこのことを定例の選択肢コラムではっきりと述べます。また、新しいリサージェンス・ヴォイス (Resurgence Voices) のポッドキャストの最初のエピソードでも彼の話を聞くことができます。 こういったこと全てが過度に立派に聞こえるとしたら、そうではないのです。食は、その生産と消費の中で、私たちと自然の関係性を明らかにする手助けをしてくれるものです。仏教の師であるティク・ナット・ハンは過去にこのように言ったことがあります。「あなたが本当の意味で一切れの人参と触れ合えば、土や雨、日光とも触れ合うことになります。そして母なる地球と触れ合い、本当の命や自分のルーツと接するような感情を持って食事をすれば、それは瞑想です。そのように食事の一口一口をよく噛めば、私たちは感謝の気持ちを持ちます。感謝していれば、幸せなのです。」 ヴァージニア・ウルフはこのように言い換えます。「誰しも正しく食べていなければ、正しく考えることも、正しく愛すことも、正しく眠ることもできません。」そこで今号では私たちと食べ物、そして食べ物を生む土との関係性を謳歌する記事を載せています。 また他のページには、食関連でない読み物も豊富に載せています。ローズマリー・クルーニーの挿絵の付いたベン・オクリの短編は神秘的な美しさを放つ作品です。そして芸術と書評のコーナーは、スピリチュアルで知的な栄養に富んでいます。今回も十分に召し上がれ!

グレイグ・ニールはリサージェンス&エコロジスト誌の編集長。

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Eat Well, Eat Wisely • Greg Neale

Rethinking food and farming

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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