費用を見積もった平和の計画

クライヴ・バレットは紛争を抑制するための計画に感化されている

翻訳:坂井 晴香

「The Business Plan for Peace: Building a World Without War(平和に向けた事業計画:戦争のない世界をつくる)」

スカラ・エルワシー (Scilla Elworthy) 著。

ロンドンの Peace Direct [戦争を抑止する国際慈善団体]が 2017年に出版。

ISBN: 9781999816407

平和はユートピアのような概念で、現実世界では、戦争、武器取引、大金の防衛予算に代わるものはないと、現実主義者や政治家たちは理想主義者や夢想家に言います。スカラ・エルワシーはしっかり論じ、理解しやすい熱弁をもって、異を唱えています。

 政府、慈善団体、企業、個々の読者いずれによって着手されるかに関わりなく、変化への実践的な可能性がエルワシーを動かしています。そして彼女は変革を起こしてきた人たちに出会い、平和への変革を起こすことは可能だと知っています。 

 Oxford Research Group(安全保障を研究するシンクタンク)と Peace Direct(地域の非暴力に力添えする慈善団体)の両方を設立しただけでなく、The Elders(平和運動を共にする世界的リーダーらの組織)に彼女は助言しました。(残念なことにアウンサンスーチーが信頼を失う前にこの本は出版されました。第2版では、政治の行為を変えるという自己認識の例から外されるでしょう。)

 本の前半は数学者の心をくすぐる統計から抽出されたものです。8人が全人類の半分の最も貧しい人たちと同じだけの富を持っています。世界的な軍事支出は1.7兆ドルと言われ、その4分の1以下で、地球上の誰もが教育、きれいな水、衛生的な環境を得るとができます。

 統計の目的はエルワシーの提案する一連の国際開発イニチアチブの事例を示すことです。世界的な軍事的文化を平和のための文化に変えるために25の実践的な計画の正確な概要を中心的に扱っています。

 各々の計画について述べられているのは、その根底をなす原則です。それは世界各地で見事に機能している原則についてのエルワシーの経験による実践例であり、続けて概ね1文または2文の簡潔な提案がなされています。これには後に概算が与えられています。

 エルワシーは規模の大きな思考をするのが得意ですが、提案の信頼性は彼女の挙げた心を揺さぶる事例に基づいています。パキスタンの北西部で非暴力を掲げる学校、コンゴ民主共和国で今日民兵から子供兵をヤギと交換に手に入れている以前子供兵であった人々、和平交渉の合意が得られるまで男性たちの退出を拒否ししている何千人ものリベリア人女性といった逸話があります。

 概算は簡単な計算でできるとは言え、十分エルワシーの提案に必要な金額の規模を示しています。

 紛争地域における地域住民による平和構築の組織への10年にわたる支援に1401億4千万ドル、関連する国における4つの真実和解委員会に2千4百万ドル、最も紛争の激しい10カ国にある平和と安全保障センターにそれぞれ25憶ドルの概算です。

 暴力的紛争を防止すべくこれら全ての計画の10年間の総費用は20億ドルを下回ります。膨大な額に聞こえ、実際そうですが、企業の予算の中に収まります。戦争にかかる年間支出は地球上の一人当たり220ドル以上かかります。それに対して、この平和に向けた計画は一人当たり平均3セント以下の費用で済みます。

 私にはたくさんの質問があります。誰がこれらのプロジェクトの「責任者」なのか?誰が実行しているのか?詳細はどのようなものなのか?それらは西洋の覇権主義を別の形で表したものなのか?しかしこれらの質問は要点の一部です。戦争は不可避だとは思わないようにしましょう。平和に向けて現実的に可能なことを議論しましょう。そしてそれを実行しましょう。。。(記事全文を読むには定期購読の登録をどうぞ


クライヴ・バレット(Clive Barrett)は、西ヨークシャーのブラッドフォードにあるPeace Museumの理事長。

A Costed Plan for Peace • Clive Barrett

Review of The Business Plan for Peace: Building a World Without Water

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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