進展して行く

記録を保持する編集者が遺産を残す


継続してお読みの購読者はお気付きになるでしょうが、本誌は一連のマイルストーンを通過していきます。本年5月にリサージェンスの初版から50周年を迎えました。来年の初頭には第300号を発行する見込みです。そして、今号では別の重要な瞬間を迎えます。43年間の本誌の舵取りを経て、サティシュ・クマールがリサージェンストラストの出版とウェブサイトの編集責任者から身を引きます。

 サティシュの記録(彼は現在、英国ジャーナリズム界で最も長く務める編集者)は、単なる長寿記録ではありません。本誌が初期にあり得たのが、カリスマ的人物ジョン・パプワース(John Papworth: 1966年にリサージェンスを創刊し最初の6年間編集) のおかげだとするなら、客観的な見方からすると、サティシュ(当初は妻のジュンと共同編集して協力)のおかげと言えるのが、まず、終焉を懸念する人もいる中での1970年代の雑誌の存続。次に、ゆっくりではあるものの堅実な進歩をして至った今日の姿(国際的に知られた雑誌で、ガーディアン紙の記事の言葉では、英国のグリーンムーブメントのスピリチャルで芸術的な最先端)です。

 それゆえ、適切に、今号では、サティシュの不変の編集意欲をいくらか反映し、また、彼が編集する定例のコーナーに寄稿している執筆者を取り上げています。ハーバート・ジラデット (Herbert Girardet) は、基本理念コーナーに寄せて再生力のある都市の創造について取り上げていますが、サティシュのリサージェンスの最初の号(43年前)の寄稿者でした。それから、インドの環境活動家ヴァンダナ・シヴァは、その新著が今号で書評されていますが、同様に長年の執筆者です。しかし、サティシュはまた、いつでも、新たな、若い、執筆者を盛り立てています。最近ではたとえば、ヴァネッサ・シーハン(Vanessa Sheehan:底流コーナーで、自然と創造について執筆)、アンタラ・ムカージ(Antara Mukherji:食について執筆)などです。

 至るところ、カバーしたトピックに、私たちの長年の関心が反映されています。近代の殺虫剤の有害な影響に関するオリバー・ティッケル (Oliver Tickell) のリポートに始まり、世界的な不平等へのマーク・ゴールドリング (Mark Goldring) の批評、急進的な牧師トーマス・マートン (Thomas Merton: 動乱の時代に平和と自然について語った人)の人生についてのマシュー・フォックス (Matthew Fox) の報告まで。

 サティシュは、編集者のアイシェイドを下ろすかもしれませんが、リサージェンス・トラストの代表であり続けて、働いて教えていきます。そして、本誌が前へ進むにつれて(今後もワクワクする新たなプランがありますし)、彼が遺したものがいかに重要であったかと私たちは気付くのです。

グレッグ・ニール

編集者

Moving On • Greg Neale

A record-holding Editor leaves an important legacy

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

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