より良い世界を作る􏰀

私たちに必要なのは、勇気、好奇心、努力、そして自分の限界を学ぶこと。

翻訳:ディサロ 水城

あなたの理想の世界とはどんなものでしょうか?私が 想像するに、本誌の読者の中にはより良い世界に憧れ ない方はほとんどおらず、リサージェンス誌を立ち上げ てこの50年間、どんな話題であろうともコラムは常に 作家のプランや提案や議論や奨励などで今に至るまで 湧きたって来ました。 これに関して雄弁に語って思い出させてくれたのは数 号前、偉大なヴァイオリン奏者ユーディ・メニューイン (1970年にリサージェンス誌に「地球上での天国 (Heaven on Earth)」を執筆)の個人的なマニフェストを 再掲載した時でした。「天国とは、人類が自らの限界 に畏怖する時やって来る」と彼は書いた後、彼の夢の 輪郭をいくつか示しました。持続可能で汚染のないテク ノロジー;多様性を奨励する社会;「すべての宗教の 上に構築され、しかも時代に即した」現代の道徳;そ してとりわけ、「すべての命を相互依存させ未来を意識 的に擁護しようとする絆を持つ文明人による受け入 れ」という夢です。 今号のリサージェンス&エコロジー誌ではユーディ・ メニューインのマニフェストの踏襲だけに留まりません。 確かに、基本理念ページでは、私たちが理想社会のコ ンセプトを持っていることを魅惑的に思い出させてく れます。トマス・モアがユートピアを書いてから500 年、ある部分では明らかに現代社会の風刺ですが、ニ コル・ポール (Nicole Pohl) がユートピア主義の歴史や私 たちの抱え方を描写しています。小さな共同体や偉大な 国家に知らされる理想や、栄えた社会実験や、失敗し たものです。そしてもちろん、ユートピア(またデスト ピア)の社会を自身の作品の中で描くアーティストを 豊かに惹きつけるものです。 6月の国民投票での英国のEU離脱という投票結果は、 私たち国民がどんな社会を望んでいるか討論する全て

の議論の局面から作家を触発しています。今号では議論 を前へ進めようとしています。ジョナサン・ポリットは 緑の運動への強い呼びかけを発し、ポール・キングス ノースは地方民主主義の価値を吟味します。ヘレナ・ ノーバーグ=ホッジはグローバル性へと論点を進め、サ ラ・ビーティー=スミス (Sarah Beattie-Smith) のレポー トはスコットランドから。そこでは逆説的にウェスト ミンスターからの移譲だけが政治力を集中できたのか もしれません。 他所では、その他の理想主義者の成した業績を讃え ています。オリバー・ティッケルがインタビューするの はジョン・レッツ (John Letts) 。注目の農家で植物考古 者で、土地の多様性を復活させようと活動しています。 同時に、ヴァンダナ・シヴァがレポートしているのは、 食の多様性が、いかに世界をとりまく工業的農業から の危険にさらされているのかということ。そして、心動 かされる詩、マット・ハーヴィ (Mat Harvey) が熟考す るのはクエーカー教徒の伝統、「万人の中にある神の もの」。 ユーディ・メニューインはこう認めています。「私の 地上の天国は、古臭いものや、ありえない至福の静か なる状態ではなく、」逆にむしろ「問題や挑戦に満ち た状況で、その問題や挑戦がはらむのは膨大な量の、 勇気、好奇心、努力、忍耐、献身、自己犠牲。」それ から、オスカー・ワイルドは、ユートピアについて巧み に述べています。「人類がそこに上陸すると、他にあ るように見え、より良い国を思い、出航する。」今号 のリサージェンス & エコロジスト誌が、そんな旅路の 良きお供であればと願っています。

グレッグ・ニール

編集長

リサージェンス & エコロジスト 日本版

リサージェンス誌は、スモール・イズ・ビューティフルを提唱したE.F.シューマッハらが始めた社会変革雑誌で、サティシュ・クマールさんが主幹。英国で創刊50年、世界20カ国に読者4万人。環境運動の第一線で活躍するリーダーたちの、よりよい未来への提言で、考える糧を読者にお届け。また、詩や絵などのアートに溢れているのも特徴。

0コメント

  • 1000 / 1000